讃岐(さぬき)うどんとは何ぞや?(その1)
香川県における俗説では、善通寺を故郷とする弘法大師(空海)が唐からもたらしたとされる。江戸時代前期の元禄の頃に描かれた「紙本着色金比羅祭礼図」には、既に讃岐(さぬき)うどん屋を見る事ができる。
讃岐(さぬき)地方でうどん作りが盛んとなった背景には、水利に恵まれない土地柄から主食の米作を補う麦作が盛んであったことに加え、瀬戸内海沿岸で生産される塩やイリコ、小豆島で生産される醤油など、うどんの材料となる主要な産物が、瀬戸内海の海運により流通しやすい状態にあった事があげられる。
香川県民は一人当たり年間180食以上のうどんを消費すると言われる。この量は日本一であり、讃岐(さぬき)うどんはまさに県民食として日常に根付いた食品と言える。かつて故郷へ帰る香川県民は、本州から乗船した宇高連絡船甲板のスタンドで供される讃岐(さぬき)うどんに、帰郷を実感したという。香川県内でも厳密には地域ごとに差異があり、県内各地の住民はそれぞれに地元の讃岐(さぬき)うどんが美味であると自負している。
1990年代、香川県の地方情報誌『月刊タウン情報かがわ(TJ Kagawa)』の連載に基づき作製されたうどん店ガイドブック『恐るべきさぬきうどん』が脚光を浴びた。以来、香川県の重要な観光資源となり、首都圏や関西に讃岐(さぬき)うどんのチェーン店が出現するに至る。
現在、地元の讃岐(さぬき)うどんの原料となる小麦は、オーストラリア産の特別な品種を用いるのが普通となっている。2000年代に入り、さぬきうどん用小麦として香川県が新品種『さぬきの夢2000』を開発したが、生産量が圧倒的に少ないことや、製麺の難しさから、広く普及するまでには至っていない。
※杵屋グループの讃岐(さぬき)うどん店「みのり」では、讃岐(さぬき)うどん限定の小麦粉「さぬきの夢2000」を使用した讃岐(さぬき)うどんが食べられます。